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9月入学をすすめるのはなぜか?本当の理由に迫る

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緊急事態宣言が延長されることが濃厚化した今,自粛疲れと共に様々な心配の声が漏れ始めている。

 

中でも,受験生や子を持つ親の多くが心配しているのが,子供の学力をはじめとする学校生活についてだ。

 

そこで浮上したのが9月入学制度案。

 

9月の入学を勧めるのはなぜなのか?

きっかけとなったのはある高校生のSNSへの投稿からだった。

一言でいえば,全ての学校の入学時期を4月ではなく9月にしようというもの。

  

では,もし9月入学になると各学年の年齢分けと入学時期はどうなるのだろうか?

 

様々な可能性を考慮した結果,私の考えはこうだ。

 

まず,年齢については,現行の4月入学と同じ年齢で区切り,単に入学の時期だけを9月に移行するというもの。

 

つまり,今年4月に小学校に入学した仲間でそのまま9月から新学期を再スタートするだけというイメージだ。

 

上の学年も同様に,今のクラスでそのまま9月から新年度をスタートし直して,進級が来年の9月になるという流れ。

 

次に,卒業時期については,7月末になるのではないかと考える。

現在の夏休みの開始時期が卒業で,夏休みが明けた9月が次の入学というイメージだ。

 

「9月入学制度」が導入されたら各学年の年齢区分はどうなるのか? 

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各界で,この9月入学制度の導入に向けては賛否様々論議が交わされている中,素人の私が結論を出すことはできないが,子供を持つ一人の親の視点としてこの9月入学制度案について少し考えてみた。

 

この制度を耳にしたとき,真っ先に頭に浮かんだ疑問は

「入学の時期が変わる?自分の子供は9月から何年生になるの?」

だった。

 

仮に年度が9月1日~翌年8月31日で設定されたとすると,各学年の年齢分けは2つの可能性が挙げられる。

  1. 9月2日~翌9月1日生まれを1つの学年とする。
  2. 4月2日~翌4月1日生まれ(現行と同じ区分け)を1つの学年とするが新年度のスタートは9月2日。

 

では,何故私が2つ目の,現行通りの年齢分けを引き継ぐ案が濃厚だとしたかと言うと

そちらの方がより,子供の混乱が少ないと考えたからだ。

 

確かに,年度と年齢の区分けを一致させたほうが分かりやすいかもしれないが

もし,9月2日~翌9月1日生まれを学年の区切りとして今度の9月から新学期を始めるとする。

 そうなると,4月2日から9月1日の間に誕生日を迎えた人は一学年上に進級することになる。

 

これはどういうことかというと,つい最近入学したばかりの小学1年生が,ほとんど授業を受けないまま,9月から小学2年生に進級することになるということ。

 

また,一つ下のクラスにいたはずの後輩と同じクラスになることもある。

 

クラスや学年が変わることで学力面の不安もあるが,子供の間ではこうした複雑なクラス再編成による気持ち的な混乱の方が大きいのではないか。

 

勿論,現行の年齢分けを引き継いでも教育カリキュラムの遂行が半年ずつ遅れることになるので,教育水準が下がるという問題はあるが,混乱は少ないように思える。

 

「9月入学制度」で卒業はどうなる!?卒業後の進路はどうなる?

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こうして入学の時期について何となく頭が整理されたところで次に浮かぶのが卒業の時期とその後についてだ。

 

教育カリキュラムは各学年1年間の年度設定で作られている。

 

その現在のカリキュラムを出来るだけ変えずに反映させることを考えると、休みの長さなども変更なしで夏休み前に卒業というのがすっきりすると考える。

 

つまり,7月末が卒業の時期としてよいのではないか。

 

しかし,ここでぶつかる壁がある。

それは就職だ。

 

今日の新卒採用は基本,4月入社であり,卒業の時期とのずれが生じてしまう。

 

事業年度や会計年度が4月からのサイクルで成り立っていることも関係していると思うので,簡単に採用の時期を夏に変えればよいというわけにもいかないだろうが,これを機に企業が通年採用に移行するなどの柔軟性があればよいと思う。

 

SNSが拡散,多くの賛同の声。9月入学求める署名活動広がる

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ところで,ここまで述べてきたようになんだか複雑な9月入学制度はなぜここまで話題になっているのだろうか。

 

それは,一人の高校生が投稿したSNSをきっかけに多くの学生が賛同し,この制度の導入への署名活動が起こった為だ。

 

それだけではなく,そもそもこの制度の導入を巡っては長年政府の間でも議論が繰り広げられていたことも大きな要因だろう。

 

では,実際にこの9月入学制度にはどのようなメリット・デメリットがあるのだろうか?

 

署名活動の中で次のようなメリットが挙げられている。

  1. 臨時休校により必要な授業が受けられず,学力低下と教育格差が懸念される中

   足並みをそろえて十分な教育を受けられる。

  1. 国際基準に合わせられる。

   先進国の大半は基本的に9月ごろが入学の時期。

   国際化が進み優秀な人材を確保するためには留学やインターンシップ

   などに対応しやすい環境づくりが必要な中で,一つの弊害となっていた

   入学時期の違いがこれで解消できる。

  1. 入試が冬に行われることで生じる天候による混乱を押さえられる。

   毎年,大雪による交通遅延やインフルエンザの流行など冬は混乱が多い。

   春から夏にかけてが入試の時期になればこういった混乱も軽減できる。

  1. かけがえのない学校生活の青春を取り返すことが出来る。

   休校により学校イベントの中止が相次いでいるだけでなく

   クラスメイトと共に過ごす学校生活が送れていない。

   そんな貴重な時間を作りたい。

 

確かに,新学期が始まって1日も登校できていない学校が多い現実を考えると,事情が落ち着いた後に仕切り直して再スタートするのは悪くなさそうだ。

 

そして,国際基準に合わせる点もメリットは感じられる。

 

私の身近な経験でも,高校時代を海外で過ごし,大学は日本の大学へ通った兄が大学受験の際に苦労していたのを何となく覚えている。

 

結果的に,9月に海外の高校を卒業してから半年ブランクを開けて,一浪扱いで大学に入学していた。そのような点からも,国際化が進む今日,海外と足並みをそろえるは良いと思う。

 

3の天候による混乱については,春や夏であればその混乱が起こらないかというとそれは不明であるが,何となく冬よりは可能性が低い気はする。

 

そして,青春を取り戻したいという学生の気持ち,それは大いに共感できる。

 

本来行われたはずのイベントが多数中止になり部活動の大会なども中止になっている。

 

インターハイや総体などが中止になり,夢を抱いていた学生が絶望を感じた姿も記憶に新しい。

 

彼等の気持ちを考えると,9月入学にすることでまた時期をずらしてイベントや大会を行う時間もとれるのではないか。

 

このような点から今回の9月入学案は一見とても良いことばかりにも思える。

 

しかし一方で,この制度導入への反対派の意見も少なくない。

その一例がこちら。

  1. 年齢に対する教育レベルに5カ月間の遅れが生じる,もしくは学年構成に変化が生じることへの国民の理解が得られるのか。
  2. 教育年度がかわり,事業年度や会計年度とのずれが生じることで,就職や予算への影響が出る。
  3. 深く根付いた「入学」=「春」といった文化がこの変容を受け入れることが出来るのか。
  4. 臨時対策の一環として浮上した案だが,そもそもこの混乱した世の中に更なる困難を招くようなことをするべきではない。今は医療や経済対策に集中するべきだ。

 

2の就職や予算への影響については,通年採用に変更したり,会計年度を変更したりすることで対応できるかもしれないが,入学が春というイメージや同級生だと思った仲間が同級生でなくなること等への混乱など,国民の気持ちの面で納得させられるかはなかなか難しい問題のようにも思える。

 

 

まとめ

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「9月入学制度」導入か否か。今後の動向に注目

このように,賛否両論ある中,私自身が色々なニュースや記事を見ていて,違和感を覚える点がある。

 

それは,元々の「授業の遅れを取り戻すために9月入学制度は有効か」という問いに対して,Yes or Noの意見でなく,次第に「9月入学制度導入自体は賛成だが,時期を改めたほうがいい」というように「9月入学制度」について賛成か反対かの議論が目立っているように思える点だ。

 

それは,「9月入学制度」というのが,政府が長年注目してきた議題であって,たまたま再浮上した今,ちょうど良い機会だとしてこの制度を導入しようとしている政府側の意図の表れではないだろうか。

 

実際,反対派の多くも,9月入学制度そのものに反対している人はさほど多くないようにも思える。

 

多くは,世の中が混乱している「今」やるべきではなく,もっと計画にやるべきだという。

このように,9月入学制度自体はいずれ取り入れることに賛成する傾向が多い。

 

5年計画,10年計画でしっかりとやっていけば混乱も少なく,根付いた入学=春というイメージや文化などに対する国民の理解も徐々に得られ,それなりの心構えも出来ると思う。

 

私自身の考えとしても,何十年も改革に踏み込めなかったこの政策を,ほんの3~4か月で実現しようというのは無理があるように思える。

 

授業の遅れを取り戻す政策としてはあまり複雑で,負担や課題が多すぎるのではないか。

 

政府としては,事が落ち着いてからいざ改革するには,おそらく課題が多すぎて腰が重いのだろう。

 

国全体で取り組まないといけない課題が多すぎるので,安定した日常では理解や協力を得ることも難しいだろうし,安定した日常に混乱が起こることへの抵抗も大きいだろう。

 

しかし,改革には一定の混乱はつきものだと思う。

その混乱をいかに最小限に抑え、やむを得ず生じてしまう混乱に対して如何に事前に対策を講じるかが大切ではないか。

 

今後この「9月入学制度」が導入されることになるかどうかは動向を見守りたいところだが,

もし導入することになるのであれば,子供の混乱がなるべく少ないよう十分考慮してもらいたい。

 

学年の年齢分けでクラスが再構成されることが無いように。

そして,卒業後もスムーズに就職できるよう,卒業時期に合わせた社会の変化が得られるように期待したいと思う。